近十年で一気に進んだ「平和国家」から「戦争ができる国」への転換

 こうした「平和国家」から「戦争ができる国」への転換に向けては、10年前の安倍晋三内閣による、いわゆる「安全保障法」(安保法制:2015年9月成立/16年3月施行)の制定が巨大なスプリングボードとなったのは断るまでもないでしょう。自民党政権は、この10年間という時間を費やして、周到かつ着実に進めて来ていた点は、しっかりと看取しておく必要があります。ただし注意すべきは、その間、憲法9条の条文は一切変わっていない点です。憲法条文の改正には手を付けずに、安全保障という名の下に、閣議決定に基づく憲法解釈を積み重ねて、武力行使一歩手前の領域への軍事的可能性を浸透させてきたのです。

 安倍内閣は、歴代自民党内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権、即ち、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」の行使容認を皮切りに、後方支援の拡大や武器使用の拡大に向けた立法にも踏み込みました。その後、岸田文雄内閣は2022年末、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有などを内容とする新たな「安保三文書」(国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画)を閣議決定し、また、アメリカからの防衛費GDP比2%以上への引き上げ要求を受けて、防衛費の大幅増額をも判断しました。その結果、本年度では、遂に9兆円超という過去最大の防衛予算を組むに至っていまsy。